体温調節機能の強化(効果的な発汗と筋肉発熱)
私達の体を物として見ると体温を維持する熱の発生源とそれを放熱する放熱器と見ることができます。体温を一定の約37度Cに調節しているのは、熱を発生する筋肉発熱と、自然放熱と熱を積極的に下げる発汗作用の相互関係で成り立っていることがわかります
体温調節の必要性
人間の体温は約37度Cに保たれています。それは年間を通して活動する為と、体の機能を常に正常に保つ為と考えられます。
蛇やカエルのような変温動物では、夏は活動できますが、冬には活動できずに冬眠するしかありません。また、生体の各種の機能は化学反応によって行なわれており、化学反応には最適な温度が必要です。人体ではその最適な温度が約37度Cなのです。
低体温の弊害
最近、女性に低体温の人が増えているそうです。冷暖房に頼って体を過保護にして体温調節機能が低下し、ダイエットで食事量を減らして、脂肪より筋肉量が低下しているのが原因です。
体温が1度C下がると、 私の計算では人体を物と考えると 基礎代謝楽天 が約6%低下します。(実際は様々な相乗効果で基礎代謝が約10%低下します。)免疫力は約30%低下するそうです。基礎代謝が下がると、体内の発熱も低下するので、更に低体温になりやすくなります。免疫力が低下すると、風邪やガン等の様々な病気にかかりやすくなります。
体が冷えると、酵素の働きも悪くなり、元気にさせようと冷えた状態の人にたくさん食べさせても、消化が十分に行われず、胃がもたれることがあります。
風邪にかかると熱が出るのは、体温を上げることによって、病原菌の働きを弱めることができるのと、白血球の働きが良くなるのと、血行が良くなるからです。低体温ではこの機能が働かず、病気になりやすくなります。これは長い間の人類と病原菌との戦いで人類が獲得した知恵です。
高体温の弊害
低体温も問題ですが、高体温でも体に様々な不具合を起こします。夏になって直射日光の下で十分な水分を摂らずに運動を続けると日射病とか、熱射病とか、熱中症と呼ばれる高体温状態になります。このようになると、脳の機能が悪くなり、命にかかわることがあります。
赤ちゃん子供が病気で発熱して、体温が40度Cにもなると、痙攣(けいれん)や引きつけを起こしたり、意識を失ったりすることがよくあります。これも脳の温度上昇によって起こります。
体温調節機能を強化するには
体温調節機能を強化するには、発熱と発汗のバランスを良くすればよいことは明白です。人体の主な発熱は筋肉からの発熱ですから、発熱をよくするには筋肉量を増加させるのが一番です。必要な時の発汗をよくするには、汗腺の発達とその機能の強化です。
いくら筋肉が発達していても、汗腺の量が多くても、それらがうまく働いてくれなくては、体温調節はできません。体温調節のトレーニングも重要です。
筋肉量の増加
適度に運動をするか、筋力トレーニングをして体脂肪率を下げて、筋肉質の体にします。そうすれば筋肉からの発熱が多くなり、寒く感じないようになります。
女性に多い体の冷えは筋肉量が男性より少ないから起こるようです。ダイエットで体重を下げると脂肪より先に筋肉量が減るので、冷えには逆効果になります。
運動をして筋肉を付けると、脂肪が減ってそれが筋肉に変わるので結果的に体重が減ります。それによって体の冷え症に効果があります。
寒いからと家に閉じこもるのではなく、外に出て適度な運動をしましょう。散歩でも良いと思いますが、効果的なのは通常より早足で歩く事です。サイクリングも良いと思います。
運動をすることによって体が発熱するので、薄着でも行なうことができます。体温を上げる効果もあります。また運動によって体の筋肉量を増やすことができます。これは相乗効果で良い方に働きます。
発汗機能の強化
発汗機能を強化するには、とにかく汗をかき、休止した汗腺までも蘇らせるトレーニングをすることです。適度な運動をして、汗をかいて汗腺を鍛えてやります。そうすることで筋肉も増やすことができます。
筋肉を増やす効果はありませんが、発汗トレーニングは適切な入浴によっても行なうことができます。つまり半身浴や足浴やサウナ等の入浴法です。
このようにして、休止状態の汗腺を蘇らせ、定期的に良い汗をかく習慣を身につけましょう。
体温調節トレーニング
体温調節のトレーニングは、暑さや寒さに体を慣れさせることから始まります。暑さ寒さは基本的には衣服で調節するのではありません。人体に調節させるのが基本です。
秋になって少し寒いからと、重ね着をするのは止めましょう。少しくらいの寒さは体に調節させましょう。朝起きて着替えをしたら、寝るまでは脱いだり着たりをするのは止めましょう。暑ければ汗をかいたらよろしい。少しの暑さ寒さはがまんしましょう。
そうすることによって段々暑さや寒さを感じなくなってきます。これは体が調節してくれている証拠です。
究極の体温調節トレーニングは、乾布摩擦(かんぷまさつ)や冷水摩擦(れいすいまさつ)を毎日することです。これも夏から始めれば、冬になっても続けることができます。
これについては「薄着健康法」に詳しく書いていますのでごらんください。あなたも暑さ寒さに強い健康体を手に入れませんか。