マダニが媒介する新ウィルス感染症
マダニが媒介する新しいウイルスによる感染症が2012年の夏頃に西日本の各県で発生していました。この感染症で死亡した人は、成人の男女合わせて数人になっています。今後も感染が広がることが懸念されます。この感染症の症状と予防方法について調べてみました。
マダニが媒介する新ウィルス感染症とは
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome virus)は重症熱性血小板減少症候群ウイルスと言い、日本国内ではこれまでに山口、愛媛、宮崎、広島、長崎などの各県で感染した患者の死亡が確認されています。
この病原菌は2011年に中国で確認された新型の ウイルス楽天 です。これまでに検出されたウイルスは、その遺伝子から日本に元々あったウイルスだと考えられています。
イノシシに寄生していたマダニの写真
この写真は我が家の近所の捕獲檻で捕獲した猪に寄生していたマダニです。猪が死ぬとダニは猪の体から離れて猪の体の上を歩いていました。死んだ猪に取り付いていても生きていけないと悟って何匹もゾロゾロと動いていました。(2011年9月)
マダニ科のダニは日本国内に広く分布していて、猪やタヌキやアナグマなどの野生動物や牛や馬や山羊などの家畜やペットの皮膚に食いついて生活しています。
マダニの成虫は、数mmの大きさですが、幼虫は1mm以下のものもあります。犬などのペットにくっついていたら気が付かないことがあります。
なお、マダニ科のダニは主に山地や野原などの屋外に生息していますので、屋内に生息するヒョウヒダニやコナダニとは全く別のものです。
何年か前に父と温泉に入ったことがあります。父は腰の辺りにイボができたようだと言っていました。よく見ると、イボではなく、大きなマダニではありませんか。すぐに手の爪で引っ張ると取れましたが数ミリメートル以上の大きさでした。毎日風呂に入って体を清潔にしたり、タワシで全身をこすったりしていれば、ここまで大きくなることはなかったと思われました。
重症熱性血小板減少症候群の症状
SFTSウイルスに感染した場合、6~14日の潜伏期間を過ぎると、全身のだるさや吐き気などの症状があります。その後、約38度以上の発熱があり、喀血、嘔吐、下痢、髄膜炎などの症状になる場合があります。また、血小板や白血球などが急激に減少します。
大便が黒くなったり、歯ぐきからの出血があることもあり、ひどい場合は多臓器不全になり死に至ることがあります。その致死率は10~30パーセントだと言われています。とても怖い病気です。
重症熱性血小板減少症候群の予防方法
このウイルスに対する有効なワクチンはまだありません。感染を予防するには、マダニに噛まれないようにすることが最も重要です。
マダニが居るような山などに行ったり、畑で農作業などをする時は、素肌を出さないことがとても大切です。長袖のシャツや長ズボンや靴下や帽子を着用し、長靴や手袋をして、首に手ぬぐいを巻いたりしてください。防虫スプレーを衣類に使用することも有効です。
山や畑などから帰ったら、すぐに衣服などの身に付けている物を着替えてください。できれば、すぐに身体を拭いたり入浴したりする方が良いでしょう。
もし、ダニに噛まれてしまった場合は、すぐに医療機関で処置してもらうことが重要です。でも、あまりにも小さいので噛まれたかどうかがわからない場合があります。山などに行った後、皮膚が赤くなったり、発熱があった場合は、早めに医療機関に掛かってください。
患者の血液や体液に触れることで、人から人に感染することが報告されていますので、感染した人の血液や体液に直接触れないようにしてください。