白内障(白内症)の治療方法
父は2009年3月3日から7日にかけて白内障(白内症)の治療(水晶体を取って眼内レンズに入れ替える手術)をしました。このページは父の手術体験を通して白内障について記したものです
白内障(白内症)とは
白内障(白内症、しろそこひ)とは一言でいうと、目の中の 水晶体楽天 (レンズ)が濁って物が見にくくなって視力が低下する眼の病気のことです。よく似た名前の病気に緑内障(緑内症、あおそこひ)がありますが、全く別の病気です。
眼球の構造と白内障(白内症)の原因
眼球の構造は右の図のようになっています。眼球の一番前に角膜があります。黒目の部分です。その後ろに虹彩と呼ばれる瞳があります。日本人では黒目の中の茶色の部分です。
その後ろにカメラではレンズに相当する透明な水晶体があります。白内障では水晶体が濁ったり曇ったりして、透明ではなくなってくるのです。
- 一般的には長年、日光に含まれる紫外線を浴び続けると白内障になると言われています。
- 加齢による原因が最も多いと言われています。これを老人性白内障と言います。 60歳代で約70%、70歳代で約90%、80歳以上ではほぼ100%の人が白内障になっていると言われています。
- 化学的には水晶体内のαクリスタリン蛋白の変性で不溶性蛋白が増加して白内障になると言われています。
- 他の病気が原因で白内障を発症することがあります。つまり、目の外傷や糖尿病やアトピーや栄養不良等が原因になることがあります。
- ステロイド剤や抗精神病薬等の薬剤の副作用が白内障の原因のこともあります。
- 網膜剥離や緑内障のような目の手術の後で白内障が進行することがあります。
- 遺伝によるものもあります。水晶体が元から濁っている先天性白内障等です。
- 喫煙も白内障の原因のひとつです。
- ビタミンA、B、C、E不足も白内障の原因になります。
白内障の症状
- 水晶体が混濁すると眼の中にはいる光の量が減りますので、暗く見えます。
- 混濁部分で光が散乱しますので、視野が白色や黄色に見えます。
- かすんで見える
- まぶしく感じる
- にじんで見える
- 視力を測る毎に数値が違って不安定
- 眼が疲れやすい
白内障の予防
- バランスのよい食事を心がけて、偏食をしないようにします。ビタミンA、B、C、Eが不足しないようにします。
- 強い紫外線や赤外線に当たらないようにします。外出にはサングラスや保護眼鏡(めがね)をします。色の濃いサングラスより、UVカットの薄い色の眼鏡の方が瞳孔が開かないので効果的です。
- 糖尿病のような白内障の原因となる病気にならないような生活をします。
- 薬の乱用や長期の投薬の時は副作用に注意します。できるだけ薬に頼らない治療方法を心がけます。
眼の病気は栄養バランスが大切なのを実感
白内障に限らず眼の病気は栄養がとても大切です。私は45才頃に妻の入院で、食生活が乱れた時期がありました。ちょうどこの時、視力が突然落ちて、眼科にかかると「老眼の始まりです」と言われました。
しかし、妻が退院してバランスの良い食事になると、視力はすぐに元に戻りました。今は、もう還暦が来るというのに、まだ老眼にはなっていません。遠くも近くも眼鏡なしで見えます。眼科医に「老眼の始まりです」と言われたのは眼科医の間違いだったことになります。
白内障の治療方法
白内障が進行してしまって水晶体が濁ってしまうと、普通は元の通りに回復することはありません。このような場合は手術で視力を回復するしかありません。白内障の手術は今では日常茶飯事となり、手術の成功率はほぼ100%です。また1992年から眼内レンズの挿入が保険適用になりました。
白内障がまだあまり進んでいない段階では、点眼薬や内服薬による進行の予防を行なうことがあります。
白内障の進行を遅らせる治療薬
- 抗白内障点眼薬----イセチオン、カタリン、カリーユニ、タチオン、ピネチオン
- 抗白内障内服薬----キネダック、チオラ
白内障の手術方法
白内障の手術は水晶体を取り除き、人工の水晶体(眼内レンズ)を移植する手術を行ないます。 網膜や視神経、角膜などの他の部分に問題がなければ、視力の回復が期待できます。
- 角膜の周りを小さく切開します。
- 水晶体の前部の膜を切開します。
- 水晶体を細かく砕いて吸い出します。
- 眼内レンズを挿入します。
- 眼内レンズを固定します。
最近は手術方法が進歩して、超音波水晶体乳化吸引装置を使い、折りたたみ式の眼内レンズを挿入する小切開手術となりました。手術は局所麻酔でほとんど痛みは感じないようです。手術時間は30分程度でした。場合によっては入院も必要ありません。
白内障の手術前後の治療薬
- 手術前後と退院後1週間目(点眼薬)----クラビット(目の感染症を治療する)、 ジクロード(目の腫れや痛みをとる)、 ミドリンP(瞳を開く、退院後は無し)
- 手術前(点眼薬)------ネオシネジン(瞳を開く)、
- 手術後と退院後(点眼薬)------リンデロン(炎症をとる)
- 退院後1週間目(内服薬)------フロモックス(殺菌)、ダーゼン(炎症による腫れをやわらげる)
- 退院1週間後~2週間目(点眼薬)----クラビット(目の感染症を治療する)、 ジクロード(目の腫れや痛みをとる)
白内障の手術後の注意と日常生活
手術の後、眼の状態が安定するには数週間はかかります。手術後しばらくは点眼と定期的な診察が必要となります。
- シャワーや入浴は手術約2日後までは控えます。洗顔の時は目の中に水が入らないように注意します。
- 仕事や運動は控えめにして、少しずつ元の生活に戻すようにしましょう。人混みやほこりの多い場所へは行かないようにしましょう。
- タバコや飲酒はしばらくは控えた方が良いでしょう。
- テレビを見たりや読書をすることは疲れない程度にしてください。
父の白内障の経過
父(大正5年生まれ、2009年3月現在93才)は若い頃から近眼の傾向があり、右側の視力が元々悪かったようです。老年になってから、左目に網膜黄斑変性症も発症しました。
60才を過ぎてから自動車の免許を取り87才頃まで運転していました。運転能力には問題ないのですが、視力が落ちてきたので自動車の運転免許を返納しました。眼科医に行こうとしないのでわかりませんが、その頃にはかなり白内障が進行していたものと思われます。
92才頃から、目がよく見えないので自転車に乗るのも苦労するようになり、自転車の運転をやめました。手術前の半年程は道を歩くのも困る程、視力が悪くなったようでした。食事の時、テーブルの上の食品を箸でつかむことがなかなかできずに、苦労しているのをよく見ました。
「目が良くなるはずがないから眼科には行かない」と言っていた父も、ようやく諦めて眼科にかかることを承知してくれました。
今考えてみると、父は毎日田畑に出て仕事をすることが多く、サングラスや眼鏡等をしていないので、紫外線の影響がとても大きいと思います。また、80才以降では、偏食ばかりして、米や味噌汁や果物が嫌いでほとんど食べませんでした。中年にはラーメンばかり食べていた時期もありました。晩年はパン食ばかりです。これらが白内障に良くないことは明白だと思います。
父の白内障手術の体験
2009年3月3日、入院
父は93才になるまで一度も入院したことがありません。今回が初めての入院となりました。今まで大病も持病もなく健康そのものでした。午前10時過ぎに、倉敷市の川崎医大病院に入院しました。
2008年3月4日、右目の白内障手術
手術の約2時間前から手術の為の点眼と点滴が始まりました。
午後5時の手術予定が、午後4時20分からの手術となりました。今日は右の目の白内障の手術です。手術時間は病室を出てから1時間程度で病室に帰ってきました。
2008年3月5日
朝早く眼帯を取りました。夕方に見舞いに行くと、よく見えるようになったと喜んでいました。A4の紙に書かれた、明日の手術予定の注意事項を読ませてみると、裸眼でちゃんと読んでみせました。
手術の時の様子を聞きましたが、ほとんど痛みはなかったようです。眼科医はやりにくかったのか、顔や頭を頻繁に助手に動かすように指示したようです。
2008年3月6日、左目の白内障手術
午後3時から左目の白内障手術です。約1時間で無事に終了しました。
2008年3月7日
昼前に眼帯を取って退院しました。かなりよく見えるようになったようです。左目は元々悪いのであまり回復しなかったようですが、右目は劇的に良くなりました。視力は0.2~0.5です。